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Posted by さがファンブログ事務局  at 

2014年07月14日

糖アルコール含浸保存処理法




木製品の保存処理

弊社の出土木製品の保存処理は、糖アルコール含浸保存処理法で行っています。

処理期間は、木製品によって変化しますが、目安としては約2カ月程要します。

処理できる木製品の大きさに制限がありますので、お問合せ下さい。

処理工程の概要は、

○クリーニング(水洗い)
水洗いで木製品表面に付着した土泥等を除去します。

○処理前の記録
木製品を1点ずつデジタルカメラで撮影し、必要に応じて略図を作成します。

○脱色(EDTA 1% 1昼夜)、その後流水
EDTA(商品名「クレワット」:ナガセケムテックス㈱)1%水溶液に一昼夜浸漬します。
これによって木製品内の鉄分が除去され、全体に明るい色になります。
脱色後、数日間流水で木製品内に残った薬剤を除去します。

○ラクチトール浸漬
 大型送風乾燥器内で65℃に加熱したラクチトールの水溶液に木製品を浸漬します。
水溶液の濃度は個々によって調整し、徐々に水分を蒸発させて濃度を上げながら浸漬します。

○ラクチトール+トレハロース(9:1)浸漬
ラクチトール50%水溶液での浸漬が終了したところで、ラクチトールとトレハロース50%混合水溶液に浸漬します。
徐々に水分を蒸発させ、最終的に75%程度まで濃度をあげます。

○温水洗い(60℃)、ラクチトール微粉末塗布
浸漬が終了した木製品は、液から取り出して表面の溶液を60℃の湯で洗い流します。 ペーパータオルで水分を拭き取った後、ラクチトールの微粉末を塗布します。

○温風乾燥(52℃)
52℃に温度設定した大型送風乾燥器の中で2~3週間乾燥します。 木製品内の結晶化が均等に進むように、ほぼ毎日木製品の反転します。

○微粉末落し、水洗い
乾燥終了後、表面に塗布した微粉末をブラシなどで落し、
ぬるま湯と水で微粉末を洗い流します。

○温風乾燥(52℃)
1~2週間大型送風乾燥器の中で乾燥をおこなった。

○乾燥
乾燥器から取り出した後、表面のべた付きや湿り気が無くなるまで、
除湿機を入れた乾燥棚で充分に乾燥させます。

○処理後の記録(写真撮影)
乾燥終了後、1点ずつ仕上がり状態をチェックし、処理前と同じように
デジタルカメラで写真を撮影します。

○接着など
折損部分のある木製品は、必要に応じてシアノアクリレート系瞬間接着剤
エポキシ系接着剤で接着をおこないます。

○保管
保存処理の終わった木製品は、返却まで除湿機を入れた乾燥棚で大切に保管します。

 
【これまでの処理実績】
2010年5月現在 皿、槽、串状木製品、下駄、曲物底板、櫛など220点

サンプル写真


  


Posted by とっぺん  at 11:43Comments(0)木製品の保存処理